「あなたはギフテッド」と、子どもに伝えてよいのでしょうか。本人の理解には役立ちそうでも、プレッシャーにならないか心配になります。
伝えるときは、得意なことと、助けが必要なことを具体的に話してください。「難しいことが分かっても、苦手なことはある。困ったら相談してよい」と伝えれば、日々の学習にも役立つ説明になります。
本人が気にしていることから話す
「同じ問題ばかりでつまらない」「なぜ自分は書くのが遅いの?」。子どもに疑問があるなら、まずその話を聞きましょう。親が結果をすべて説明するより、本人の知りたいことから話せます。
まだ詳しい評価を受けていないなら、「ギフテッドだ」と断定せず、家や学校で分かっていることを伝えます。「計算はすぐ分かるね」「長い文章を書くときは大変なんだね」といった、具体的な話で構いません。
検査を受けた場合は、結果説明のときに「本人にはどう伝えるとよいですか」と専門家に聞いておきます。得点から親だけで特徴を決めつけず、実際の評価内容に沿って説明してください。
話すのは、親子ともに時間があるときがよいでしょう。宿題でもめた直後など、別の不満と結びつきやすい場面を避け、落ち着いて話せるときを選びます。
「ギフテッド」は、得意な学び方を説明するために使う
言葉を使うなら、「同じ年の子よりずっと得意な分野がある子や、学ぶ速さが大きく違う子について、ギフテッドと言うことがあるよ」など、年齢に合わせて説明できます。定義や基準は、国や教育の場面によって違います。
米国の才能教育団体(NAGC)の保護者向け資料でも、ギフテッドの特徴を説明し、子ども自身の気持ちを聞くことを勧めています。[1]本人が自分を理解するための会話にしましょう。
「ほかの子より偉い」「将来は必ず成功する」という説明はしません。得意なことがあっても、練習や周囲の助けは必要です。何かに失敗しても、得意なことまで消えるわけではありません。
| 子どもの疑問 | 返し方の例 | 続けて話すこと |
|---|---|---|
| どうして同じ問題ばかりやるの? | もう分かっているところがあるんだね | 次に何を学びたいか、先生に相談する |
| 頭がいいなら、全部できるの? | 得意なことがあっても、練習が必要なことはあるよ | 苦手なところでは手伝いを頼んでよい |
| 検査の結果が悪かったら? | どうすれば学びやすいか、知るために受けるんだよ | 実際に受ける検査の目的を説明する |
言葉の説明だけで終わらず、「退屈なときは先生に相談しよう」「書くのが大変なら、やり方を考えよう」と、今の困りごとについても話します。
IQの数字より、得意・苦手を先に説明する
最初から得点を伝えなくても、検査で分かったことは説明できます。「図を見て考えることが得意だったね」「ここは手伝いがあると取り組みやすそうだね」など、専門家の説明を本人に分かる言葉で話します。
NAGCの同資料も、具体的なIQや下位検査の数値より、強みや特徴を伝える方法を提案しています。[1]ただし、本人が数字を知りたがったときの対応は、年齢や知りたい理由も含め、検査を担当した専門家と相談するとよいでしょう。
数字を伝えるなら、何を測った検査なのか、点数だけでは何が分からないのかも説明します。人柄、努力、将来の進路まで決まる数字ではありません。
親も、後から「この点数なのに、どうしてできないの」と持ち出さないようにしてください。検査結果は、困ったときに学習や支援の方法を考えるために使います。
得意なことと、苦手なことを一緒に話す
難しい内容を理解できても、文章を書くことや持ち物の準備が苦手な場合があります。「得意なことがあるのだから、ほかもできるはず」と期待を広げすぎないことが大切です。
文部科学省の資料にも、読み書きに困難があり、芸術的な表現が得意な子など、さまざまな例が挙げられています。[2]本人にも、「得意なことがあっても、難しいところでは助けを頼んでいい」と伝えられます。
たとえば、「準備を忘れやすいなら、一緒に持ち物リストを作ろう」「長く書くのが大変なら、先生に方法を相談しよう」。苦手なことを責める前に、本人が使える工夫を選びます。
得意な分野と学習・発達の困難が重なる「2E」については、友人関係の記事の解説で紹介しています。友達と合わない、検査得点に差があるといったことだけで判断はできません。
誰に伝えるかは、本人にも聞く
学校で支援を相談するために共有したい情報と、親戚や友人に話す情報は、分けて考えられます。検査の結果を、誰にでも詳しく話す必要はありません。
年齢に応じて、「先生には、書くときに困ることを相談したい」「検査の結果も見てもらっていい?」と本人に説明します。本人が嫌がる場合は理由を聞き、何をどこまで伝えるかを相談してください。
きょうだいに説明するなら、「学び方に合う手助けが必要なんだ」と、支援の目的を伝えます。ほかのきょうだいにも、困っていることや、親に手伝ってほしいことがないか聞きましょう。
子どもが友達に話したがる場合も、何を伝えたいのか聞いてみてください。得点を比べる話にせず、「この分野が好き」「こういう勉強をしている」と、共有できる話題を考える方法もあります。
才能の話だけで、将来を決めすぎない
得意なことが見つかると、親は将来を想像したくなります。それでも、「せっかく才能があるのだから、続けなさい」と、やめられない約束にしないようにしましょう。
興味が変わったり、休みたくなったりしたら、その理由を聞きます。内容は好きでも、練習量や通う負担が大きいのかもしれません。続ける、量を減らす、休むなど、本人と相談して決められます。
NAGCの保護者向け資料も、才能だけでなく、感情、友人関係、身体面などを含めて子どもを支えることを重視しています。[3]家庭でも、学習の成果だけでなく、楽しかったことや疲れたことを普段から話せるとよいでしょう。
説明は、一度で終えなくていい
最初はよく分からなくても、後から質問が出てくることがあります。「分からないことがあったら、また話そう」と伝えておきましょう。
子どもが「自分は変なの?」と聞いたら、「そう思ったのは、どんなとき?」と聞きます。学び方の違いが気になっているのか、誰かに嫌なことを言われたのかで、話す内容は変わります。
その都度、本人の質問に答え、困っていることを一緒に考える。ギフテッドという言葉を知ること以上に、自分の得意を使え、苦手なところでは助けを求められることを大切にしてください。
出典・確認資料
- NAGC「子どもにギフテッドをどう説明するか」(保護者向け資料・英語) ↗
本人との話し方、得意なことや得点の伝え方。
- 文部科学省「5.児童生徒の発達の支援」(5)特定分野に特異な才能のある児童生徒に対する指導 ↗
得意な分野と学習困難が重なる子どもの例。
- NAGC「子どものさまざまな面を支える」(保護者向け資料・英語) ↗
知性だけでなく、感情や友人関係なども含めた支援。
2026年10月20日更新。会話・相談メモは編集部が作成した例です。