「間違えてもいいんだよ」と伝えているのに、子どもが失敗を怖がる。宿題を書いては消し、ゲームで負けると泣いてしまう。親も、どう声をかければよいか困ります。
まずは泣いている間の説明をやめ、落ち着いてから話を聞いてみてください。「何が嫌だったか」が分かれば、声のかけ方や課題の進め方を変えられます。
泣いているときは、落ち着くのを待つ
悔しくて泣いている最中は、「みんな間違えるよ」「負けることも勉強」と説明しても、聞けないことがあります。その場で納得させようとせず、少し休みましょう。
声をかけるなら、「勝ちたかったね」「うまく書きたかったんだね」と短く伝えます。子どもが話さなければ、答えを急がなくて大丈夫です。水を飲む、席を離れるなど、落ち着ける過ごし方を選びます。
物を投げたり、相手をたたいたりしたときは止めます。「悔しかったね。でも駒は投げずに、ここに置こう」。気持ちは受け止めながら、やってはいけない行動ははっきり伝えます。
落ち着いた後に、次も使える休み方を決めておくと対応しやすくなります。「いったん休むと言ったら、ゲームを止める」など、親子で分かる約束を一つ作ってみてください。
落ち着いたら、何が嫌だったかを聞く
「どうして泣くの?」では答えにくい子もいます。「間違えたところを見られるのが嫌だった?」「やり直しが大変だった?」と、具体的に聞いてみましょう。親の予想と違う答えが返ってくることもあります。
答えられなければ、無理に選ばせず、その日は終えて構いません。後で宿題やゲームを始める前に、「前はどこが嫌だった?」と聞ける日もあります。
嫌な理由が分かれば、対処も変わります。字を直すのが大変なら下書きを使う。人に見られるのが嫌なら、まず親と二人で練習する。課題そのものが分からないなら、解き方を説明する。どの場合も「失敗を気にしない子にする」だけが解決策ではありません。
褒めるときは、工夫したところを具体的に伝える
「頭がいいね」「天才だね」だけでなく、子どもが何をしたかにも触れてみてください。「図を描いたら分かったね」「分からないところを質問できたね」と、そのときの行動を言葉にします。
小学5年生を対象にした1998年の一連の実験では、知能を褒められた子は、努力を褒められた子に比べ、失敗後に課題を続けようとする気持ちなどが低くなりました。家庭での長期的な影響を調べた実験ではありませんが、何を褒めるかを考える参考になります。[3]
一度「頭がいい」と言ったことを、心配しすぎる必要はありません。普段の会話で、点数以外にも目を向ければ十分です。長時間頑張ったことだけでなく、方法を変えたこと、手伝ってと言えたことも認めてあげられます。
| 場面 | 声かけの例 | 次にすること |
|---|---|---|
| 書き直しが終わらない | 今日は、どこまでできたら終わりにしようか | 直す箇所と終える時刻を決める |
| 難しい問題を避ける | 分かるところだけ、一緒に書いてみる? | 最初の一問や図から始める |
| 間違いを見せたがらない | 困ったところだけ教えてくれる? | 話せる箇所から聞く |
宿題は、最初にする作業を小さくする
「作文を完成させよう」では動けなくても、「書きたい出来事を一つ選ぼう」なら始められるかもしれません。次は、言いたいことを口で話す。それを短くメモする。作業を順番に分けてみます。
米国の才能教育団体(NAGC)の保護者向け資料でも、課題を小さな目標に分ける方法が紹介されています。[4]子どもが取りかかれない場合は、作業をさらに小さくするか、どこを手伝ってほしいか聞いてください。
下書きなら書き始められる子には、「最初は直す前提で書いていい」と伝えます。学校の提出物なら、下書きや構成メモの段階で先生に見てもらえるか相談しておくと、家でも進め方を説明できます。
親が失敗したときも、その後を話してみましょう。「調味料を入れ忘れたから、今入れるね」「ここを間違えたから書き直した」。失敗を隠さず、直して続きをする様子を普段の生活で見せられます。
生活に支障が出るときは、学校や専門家に相談する
毎晩、宿題が終わらず寝る時間が遅くなる。失敗が怖くて登校を嫌がる。強い自己否定が続く。こうした場合は、家庭の声かけだけで抱え込まず、学校の相談担当や医療・心理の専門家に相談してください。
伝えるときは、「完璧主義を直したい」だけでなく、実際の様子を説明します。「口では答えられるが、書くと何度も消して止まる」「人前で答える日だけ、おなかが痛いと言う」などです。
課題が多すぎる、書くことが負担になっている、内容が難しいなど、学習方法の見直しが必要な場合もあります。親子で気持ちを切り替える努力とともに、学校で減らせる負担も探しましょう。
完璧主義だけで、ギフテッドかどうかは分からない
「失敗を嫌がるからギフテッド」とは判断できません。2020年に14件の研究をまとめた分析では、ギフテッドの子とそれ以外の子の間で、完璧主義の程度に統計的に有意な差は見られませんでした。[2]
また、2021年に36件の研究を整理した論文は、「高い目標を目指すこと」と「失敗や評価を強く心配すること」を分けて扱っています。両者は、学習や心の状態との関係が同じではありません。[1]
丁寧に仕上げることを楽しみ、休んだり切り上げたりできているなら、そのこだわりまでやめさせなくてよいでしょう。苦しんでいるときには、休む方法や助けを求める言葉を一緒に決める。まずは、次に困った場面で使える工夫を一つ試してみてください。
出典・確認資料
- Gruganほか(2021)Perfectionism in Academically Gifted Students: A Systematic Review ↗
36研究を整理し、完璧主義の二つの側面を検討。
- Ogurlu(2020)Are Gifted Students Perfectionistic? A Meta-Analysis ↗
14研究で、ギフテッド群とそれ以外の群を比較。
- Mueller & Dweck(1998)Praise for intelligence can undermine children’s motivation and performance ↗
小学5年生を対象に、褒め方と失敗後の反応を比較。
- NAGC「完璧主義」(保護者向け資料・英語) ↗
課題を分ける方法など、保護者向けの助言。
2026年10月20日更新。会話・相談メモは編集部が作成した例です。