子どもとギフテッド 読み物 07

間違えるくらいなら、やりたくない――失敗を怖がる子に、親ができること

間違えると泣く、負けそうになるとやめる。失敗を怖がる子に、どう声をかけるか。落ち着いて話す方法、褒め方、宿題の進め方を具体例で紹介します。

知能をたずねて 編集部約5分

「間違えてもいいんだよ」と伝えているのに、子どもが失敗を怖がる。宿題を書いては消し、ゲームで負けると泣いてしまう。親も、どう声をかければよいか困ります。

まずは泣いている間の説明をやめ、落ち着いてから話を聞いてみてください。「何が嫌だったか」が分かれば、声のかけ方や課題の進め方を変えられます。

泣いているときは、落ち着くのを待つ

悔しくて泣いている最中は、「みんな間違えるよ」「負けることも勉強」と説明しても、聞けないことがあります。その場で納得させようとせず、少し休みましょう。

声をかけるなら、「勝ちたかったね」「うまく書きたかったんだね」と短く伝えます。子どもが話さなければ、答えを急がなくて大丈夫です。水を飲む、席を離れるなど、落ち着ける過ごし方を選びます。

物を投げたり、相手をたたいたりしたときは止めます。「悔しかったね。でも駒は投げずに、ここに置こう」。気持ちは受け止めながら、やってはいけない行動ははっきり伝えます。

落ち着いた後に、次も使える休み方を決めておくと対応しやすくなります。「いったん休むと言ったら、ゲームを止める」など、親子で分かる約束を一つ作ってみてください。

落ち着いたら、何が嫌だったかを聞く

「どうして泣くの?」では答えにくい子もいます。「間違えたところを見られるのが嫌だった?」「やり直しが大変だった?」と、具体的に聞いてみましょう。親の予想と違う答えが返ってくることもあります。

答えられなければ、無理に選ばせず、その日は終えて構いません。後で宿題やゲームを始める前に、「前はどこが嫌だった?」と聞ける日もあります。

嫌な理由が分かれば、対処も変わります。字を直すのが大変なら下書きを使う。人に見られるのが嫌なら、まず親と二人で練習する。課題そのものが分からないなら、解き方を説明する。どの場合も「失敗を気にしない子にする」だけが解決策ではありません。

褒めるときは、工夫したところを具体的に伝える

「頭がいいね」「天才だね」だけでなく、子どもが何をしたかにも触れてみてください。「図を描いたら分かったね」「分からないところを質問できたね」と、そのときの行動を言葉にします。

小学5年生を対象にした1998年の一連の実験では、知能を褒められた子は、努力を褒められた子に比べ、失敗後に課題を続けようとする気持ちなどが低くなりました。家庭での長期的な影響を調べた実験ではありませんが、何を褒めるかを考える参考になります。[3]

一度「頭がいい」と言ったことを、心配しすぎる必要はありません。普段の会話で、点数以外にも目を向ければ十分です。長時間頑張ったことだけでなく、方法を変えたこと、手伝ってと言えたことも認めてあげられます。

場面ごとの声かけ例
場面声かけの例次にすること
書き直しが終わらない今日は、どこまでできたら終わりにしようか直す箇所と終える時刻を決める
難しい問題を避ける分かるところだけ、一緒に書いてみる?最初の一問や図から始める
間違いを見せたがらない困ったところだけ教えてくれる?話せる箇所から聞く

宿題は、最初にする作業を小さくする

「作文を完成させよう」では動けなくても、「書きたい出来事を一つ選ぼう」なら始められるかもしれません。次は、言いたいことを口で話す。それを短くメモする。作業を順番に分けてみます。

米国の才能教育団体(NAGC)の保護者向け資料でも、課題を小さな目標に分ける方法が紹介されています。[4]子どもが取りかかれない場合は、作業をさらに小さくするか、どこを手伝ってほしいか聞いてください。

下書きなら書き始められる子には、「最初は直す前提で書いていい」と伝えます。学校の提出物なら、下書きや構成メモの段階で先生に見てもらえるか相談しておくと、家でも進め方を説明できます。

親が失敗したときも、その後を話してみましょう。「調味料を入れ忘れたから、今入れるね」「ここを間違えたから書き直した」。失敗を隠さず、直して続きをする様子を普段の生活で見せられます。

生活に支障が出るときは、学校や専門家に相談する

毎晩、宿題が終わらず寝る時間が遅くなる。失敗が怖くて登校を嫌がる。強い自己否定が続く。こうした場合は、家庭の声かけだけで抱え込まず、学校の相談担当や医療・心理の専門家に相談してください。

伝えるときは、「完璧主義を直したい」だけでなく、実際の様子を説明します。「口では答えられるが、書くと何度も消して止まる」「人前で答える日だけ、おなかが痛いと言う」などです。

課題が多すぎる、書くことが負担になっている、内容が難しいなど、学習方法の見直しが必要な場合もあります。親子で気持ちを切り替える努力とともに、学校で減らせる負担も探しましょう。

完璧主義だけで、ギフテッドかどうかは分からない

「失敗を嫌がるからギフテッド」とは判断できません。2020年に14件の研究をまとめた分析では、ギフテッドの子とそれ以外の子の間で、完璧主義の程度に統計的に有意な差は見られませんでした。[2]

また、2021年に36件の研究を整理した論文は、「高い目標を目指すこと」と「失敗や評価を強く心配すること」を分けて扱っています。両者は、学習や心の状態との関係が同じではありません。[1]

丁寧に仕上げることを楽しみ、休んだり切り上げたりできているなら、そのこだわりまでやめさせなくてよいでしょう。苦しんでいるときには、休む方法や助けを求める言葉を一緒に決める。まずは、次に困った場面で使える工夫を一つ試してみてください。

出典・確認資料

  1. Gruganほか(2021)Perfectionism in Academically Gifted Students: A Systematic Review ↗

    36研究を整理し、完璧主義の二つの側面を検討。

  2. Ogurlu(2020)Are Gifted Students Perfectionistic? A Meta-Analysis ↗

    14研究で、ギフテッド群とそれ以外の群を比較。

  3. Mueller & Dweck(1998)Praise for intelligence can undermine children’s motivation and performance ↗

    小学5年生を対象に、褒め方と失敗後の反応を比較。

  4. NAGC「完璧主義」(保護者向け資料・英語) ↗

    課題を分ける方法など、保護者向けの助言。

2026年10月20日更新。会話・相談メモは編集部が作成した例です。