子どもとギフテッド 読み物 08

友だちと話が合わない子に、「合わせなさい」と言う前に

友だちと話が合わない、一人で過ごしている。親は何を聞き、どう手助けすればよいのでしょうか。友人関係の具体的な工夫と、得意さと困難が重なる「2E」を解説します。

知能をたずねて 編集部約5分

子どもが「学校で話の合う子がいない」と言う。休み時間も一人でいると聞けば、親は心配になります。ただ、すぐに友達を作らせる前に、本人がどう感じているか聞いてみてください。

一人で過ごすのが好きなのか、本当は遊びに入りたいのか。それによって、必要な手助けは変わります。

一人でいることを、本人はどう感じている?

読書が好きで、休み時間を一人で楽しむ子もいます。反対に、集団の中にいても、話に入れず寂しい子もいます。友達の人数だけでは、学校で安心できているかは分かりません。

「誰と遊んだ?」に加えて、「休み時間は何をしていた?」「その時間は楽しい?」と聞いてみましょう。「一人で本を読みたい」と言うなら、無理に誰かと遊ばせなくても大丈夫です。

米国の才能教育団体(NAGC)の保護者向け資料でも、一人を好むことと孤立を区別し、興味を共有できる相手を探す方法が紹介されています。[1]親が理想とする友人関係を、そのまま子どもの目標にする必要はありません。

「話が合わない」と感じた場面を聞く

好きな話題が違うのか、遊びのルールでもめるのか、会話に入るタイミングが分からないのか。「話が合わない」の中身を、最近の出来事から聞いてみてください。

たとえば、恐竜の種類を詳しく話したい子と、恐竜の人形でごっこ遊びをしたい子。同じ恐竜が好きでも、したいことは違います。知識の差だけで片づけず、相手が何をしていたか、自分は何をしたかったかを確かめます。

話したいことがあるなら、「この話をしてもいい?」と聞く。遊びに入りたいなら、「何の役なら入れる?」と聞く。場面に合う言い方を、親子で考えてみましょう。

相手の話を聞く練習もできますが、毎回自分の好きなことを我慢する関係はつらいものです。学校での付き合い方を工夫しながら、好きなことを遠慮なく話せる相手も探せるとよいでしょう。

好きなことを共有できる相手を探す

一人の友達と、すべての趣味や考えが合う必要はありません。学校で遊ぶ友達、本の話をする相手、数学を一緒に考える仲間が、それぞれ別の人でもよいのです。

子どもが興味を持っている分野の講座、観察会、創作活動などを探してみてください。「友達を作りに行こう」と誘うより、「同じものが好きな人と、話してみる?」と内容を伝えるほうが選びやすくなります。

子どもの希望に合わせた探し方
子どもの希望試せる場所・方法参加前の確認
好きなことを詳しく話したい分野別の講座、観察会、創作の集まり本人の興味と活動内容が合うか
大人数では話しにくい少人数の活動、友達一人との約束見学や短時間の参加ができるか
今のクラスで遊びたい担任と参加しやすい方法を相談本人が入りたい遊びは何か

最初は見学や一回の参加で十分です。帰宅後に「また行きたい?」「誰と何を話した?」と聞き、続けるかを本人と決めます。気が進まない場合は、その場で次の約束を取らずにおきましょう。

オンラインなら、主催者が交流をどう管理しているか、個別連絡や写真の公開にルールがあるかも確認します。年上の相手と話が合う場合も、年齢に応じた安全への配慮は必要です。

2Eとは――得意な分野と、学習や発達の困難がある子

2Eは「二重に特別な教育的ニーズがある」という意味で使われる言葉です。文部科学省は、特異な才能と学習困難を併せ持つ子どもを2Eと説明しています。米国のNAGCは、才能と障害の両方があり、学習障害、ADHD、自閉症などのある子も含めています。[2][3]

難しい内容を理解できる一方で、読み書きに強い困難があるなど、得意な分野と支援が必要な分野が同時にある子がいます。「これだけ分かるのだから、ほかもできるはず」と考えると、困難を見落としてしまいます。

ただし、友達と話が合わないことや、知能検査の得点に差があることだけで2Eとは判断できません。ギフテッドと発達障害が同じ意味ということでもありません。

気になる様子が続くなら、できる場面と困る場面を記録します。「口では説明できるが、書く課題で止まる」「一対一なら話せるが、集団に入ると黙る」などです。学校や専門家には、その両方を伝えてください。

支援を考えるときも、得意を伸ばす学習と、困難を減らす工夫を一緒に相談できます。読み書きの負担があるからといって、好きな分野の学びまで待たせる必要はありません。

会話の困りごとは、具体的な言い方を練習する

相手の間違いをすぐ訂正する、ルールが変わると強く怒る。こうした場面では、「仲良くして」「もっと優しく」だけでは、何を変えればよいか伝わりにくくなります。

訂正したいときは「別の説明をしてもいい?」と聞く。ルールを変えたいときは、遊び始める前に相談する。家で短くやり取りして、本人が使えそうな言葉を選んでみましょう。

親が子ども役になって言い方を試すと、本人も返事を考えられます。練習の後に「これなら言えそう?」と聞き、言いにくければ別の表現に変えます。一度の練習で上手にできることを求めず、実際に困った場面でまた相談してください。

悪口や仲間外れが続くときは、学校に相談する

誘っても毎回排除される、持ち物を隠される、悪口が続く。こうした場合は、子どもの話し方の練習だけで済ませず、学校に相談してください。いつ、どこで、何があったかを伝えます。

「ギフテッドだから周りと合わない」とだけ説明するより、「本人は遊びに入りたいが、断られ続けて困っている」と伝えると、学校も確認すべき場面が分かります。

教室での様子を聞き、安心して過ごせる場所や、困ったときに話せる先生を決めます。面談後も同じことが続くなら、起きた出来事をもう一度共有し、対応を相談しましょう。

友達の人数を増やすことを急ぐより、本人が「ここなら安心できる」「この人には話せる」と思える関係を一つずつ探していく。そのために親が手伝えることは、十分にあります。

出典・確認資料

  1. NAGC「友人関係」(保護者向け資料・英語) ↗

    一人を好むことと孤立の違い、友人を探す方法。

  2. 文部科学省「5.児童生徒の発達の支援」(5)特定分野に特異な才能のある児童生徒に対する指導 ↗

    2Eの説明と、才能と学習困難が重なる例。

  3. NAGC 用語集「2E」(英語) ↗

    才能教育で使われる2Eの定義。

2026年10月20日更新。会話・相談メモは編集部が作成した例です。