「子どもの得意・苦手を知りたい」「学校から知能検査を勧められた」。受けてみようと思っても、病院なのか相談室なのか、費用はいくらかかるのか、最初は分かりにくいものです。
知能検査を受けられる場所には、医療機関、自治体の相談機関、大学の心理相談室、民間の心理相談室などがあります。まず、検査で何を知りたいのかを伝え、その目的に対応できる場所を選びましょう。
この記事は、子どもの受検を考える保護者向けの案内です。料金と受付条件は2026年10月21日に各施設の公式情報で確認しました。掲載した施設は料金の仕組みを知るための例で、受検先の推薦や空き状況の案内ではありません。
まず「何のために受けたいか」を一つ決める
同じ知能検査でも、発達上の困難の評価、学校での学び方の相談、本人の認知的な得意・苦手の理解など、目的はさまざまです。診断が必要なのか、学習の工夫を相談したいのかで、選ぶ窓口が変わります。
「ギフテッドか知りたい」という気持ちから考え始めても構いません。ただ、一つのIQでギフテッドかどうかを全国一律に認定する制度があるわけではありません。ギフテッドと発達障害の違いも知ったうえで、今の学習や生活で何を相談したいかまで伝えましょう。
「小学二年生です。授業の内容は理解していますが、板書を写すことに時間がかかり、宿題もつらそうです。得意・苦手を確かめ、学校でできる工夫を相談したいです。知能検査が役立つかも含めて相談できますか」
どこに相談する?目的から選ぶ四つの窓口
| 窓口 | 相談したいこと | 先に確かめること |
|---|---|---|
| 小児科・児童精神科など | 発達や心身の不調、診断も含めた相談 | 対象年齢、紹介状、初診と検査の手順、保険・自費の扱い |
| 自治体の教育・発達相談 | 園や学校、家庭での困りごと、地域の支援 | 在住・在学条件、年齢、検査の必要性をどう判断するか |
| 大学の心理相談室 | 心理相談と、必要に応じた検査・結果説明 | 子どもの受け入れ、検査だけの利用可否、実施者と指導体制 |
| 民間の心理相談室など | 認知的な得意・苦手や、学び方の相談 | 検査の専門性、結果説明、書面、総額、医療との連携 |
発達の診断も含めて相談したい場合は、かかりつけ医や、子どもの発達を診る医療機関が候補です。対応する診療科や年齢は施設によって違います。受診先が分からなければ、市区町村や発達障害者支援センターに相談できます。[1]
学校での支援を考えたいなら、担任やスクールカウンセラーに話し、地域の教育相談につないでもらう方法もあります。たとえば杉並区では、区内在住・在学の小中学生と保護者を対象とし、学校から本人の特性理解などのために心理検査を勧められた場合の相談を案内しています。[2]自治体ごとに対象や手続きは異なります。
大学や民間の相談室は、医療機関とは役割が違います。検査結果の報告書を受け取れても、それが医師の診断書になるわけではありません。「検査が受けられるか」と「診断を受けられるか」は分けて確かめましょう。
費用は「検査料」だけで比べない
確認した公式料金にも、面接と検査を別々に計算する施設と、結果説明や報告書まで含める施設がありました。問い合わせるときは、初回相談・検査・結果説明・報告書まで、合計でいくらになるかを聞いてください。
| 施設・窓口 | 公表されている費用 | 利用条件や注意点 |
|---|---|---|
| 発達障害者支援センター | 相談は無料 | 診断前でも相談可能。知能検査の無料実施を保証する案内ではない[3] |
| 練馬区の教育相談室 | 相談は無料 | 区内在住、または区立学校・園に在籍する子と保護者などが対象。検査の費用例ではない[4] |
| 専修大学の心理相談 | 受理面接3,000円+検査1つ4,000円+結果説明2,000円=計9,000円 | 心理検査のみを希望する場合の原則的な流れ。追加検査等で変わる。所定の紹介状がある場合は別条件[5] |
| 北里大学附属臨床心理相談センター | 知能検査などは院生実施3,000円、教員実施4,000円 | 検査単体の額。面接等は別料金で、検査だけの利用は不可。医療機関ではなく診断・治療は行わない[6] |
| こころのクリニック桜が丘 | 児童総合知能評価33,000円 | 自費メニュー。保護者面接、WISC-V、結果説明、保護者向け報告書の案内。診断・処方・証明書発行は含まない[7] |
同じ名称の検査でも、実施する範囲や面接の回数が違えば、総額や所要時間は変わります。「安いから結果説明がない」「高いから診断まで含まれる」と、金額から決めつけないようにしましょう。
医療機関では、受診目的や診療内容によって保険診療か自費かの扱いが異なります。子ども医療費助成が使えるかも含め、予約時に確認してください。報告書や診断書などの文書料が、検査の料金と別になることも確認しておくと安心です。
WISC-Vは何歳から?検査の名前は相談して選ぶ
日本版WISC-V(ウィスク・ファイブ)の対象は、5歳0か月から16歳11か月です。個別に実施し、全般的な知的機能に加え、言語理解、視空間、流動性推理、ワーキングメモリー、処理速度などの面から認知的な力を捉えます。[8]
対象年齢に入っていれば、誰もが今すぐ受けたほうがよいという意味ではありません。年齢や相談目的によっては、別の検査や行動観察などが適しています。5歳未満の子でも、発達や育て方についての相談を待つ必要はありません。
知能検査は、発達障害の有無や、その子に必要な支援のすべてを単独で決めるものではありません。読み書きの困難なら、実際の読み書きの評価が必要になることもあります。検査名を指定する前に、何を確かめたいかを実施者と話しましょう。WISC-Vの指標や結果の読み方は、子どもの知能検査を受ける前にで詳しく説明しています。
予約する前に聞いておきたい五つのこと
電話や申し込みフォームでは、子どもの年齢、相談したいこと、以前受けた検査と実施日を伝えます。そのうえで、次を確かめておくと、受けた後の行き違いを減らせます。
- 目的に合うか。診断、学校での支援、学び方の相談のうち、どこまで対応できるか。
- 受け入れ条件。対象年齢・地域、紹介状の要否、通院中の場合の手続き。
- 総額。初回面接、検査、結果説明、書面、追加面接の料金。
- 結果の返し方。保護者への説明時間、報告書の内容、学校との共有を相談できるか。
- 日程と配慮。初回から検査・結果説明までの流れ、付き添いや休憩、不安がある場合の対応。
待機期間は場所や時期によって変わります。「何か月待ち」と一律には言えません。困りごとの相談は予約待ちの間も学校などに続け、検査結果が出るまで家庭で抱え込まないでください。
検査の前後で、子どもに伝えたいこと
受検前に、非公開の検査問題を探して練習させる必要はありません。過去に同じ検査を受けたことや、関連する練習をしたことがあれば、実施者に伝えます。再検査までの間隔も、自己判断で決めず相談してください。
「どんなふうに考えるのが得意か、何をすると大変かを、一緒に調べてもらうよ。分からない問題があっても大丈夫。合格するための試験ではないよ」
説明は実施者の案内に合わせ、年齢に合う言葉で伝えましょう。「高いIQを取ってきて」と期待をかけるより、困っていることを相談する機会として扱うほうが、本人も目的を理解しやすくなります。
結果説明では、「IQはいくつでしたか」の後に、もう一つ聞いてみてください。「相談した困りごとに対して、家庭と学校で何を試すとよいですか」。数値を知るだけで終わらず、次の関わり方まで話せる受検先を選びましょう。
出典・確認資料
- 発達障害情報のポータルサイト「発達障害の診療を行っている医療機関への受診について」 ↗
診断に対応する医療機関、かかりつけ医や地域窓口への相談。
- 杉並区「教育相談」 ↗
区内在住・在学の小中学生等の対象条件と、学校から心理検査を勧められた場合の相談。
- 発達障害情報のポータルサイト「相談できる窓口を教えて欲しい」 ↗
発達障害者支援センターの無料相談。無料検査の案内ではありません。
- 練馬区「教育相談室」 ↗
無料相談と地域・在籍等の利用条件。
- 専修大学「開室時間と相談料金」 ↗
検査のみを希望する場合の受理面接・検査・結果説明の料金。計9,000円は各公表額を編集部で合計。
- 北里大学附属臨床心理相談センター「ご相談の流れ・料金」 ↗
2026年4月改定の料金、検査単独での利用不可、医療機関ではないこと。
- こころのクリニック桜が丘「自費相談・心理検査」 ↗
児童総合知能評価33,000円の内容と、自費メニューに診断等が含まれないこと。
- 日本文化科学社「WISC-V知能検査」 ↗
日本版の適用年齢と指標構成。非公開の検査問題・採点基準は掲載していません。
2026年10月21日確認。家庭での関わり方や相談文の例は、資料を踏まえた編集部の提案です。個別の診断や受検の必要性は、専門家にご相談ください。料金・受付条件は変更されるため、申し込み時に各施設の公式情報でご確認ください。